収益認識に関する期末注記を作成する際の留意点

収益認識に関する会計基準と同適用指針が、2021年4月以降開始する事業年度から適用されています。3月決算企業においては、すでに適用されており、2022年3月期の第1四半期から収益認識に関する注記の開示も始まっていますが、期末における注記の開示は、2022年3月期が初めてであるため、特に留意が必要な事項があります。そこで、期末において収益認識に関する注記を作成する際の留意点を、連載で解説します。また、ポジション・ペーパーの活用についても言及します。
なお、各回の本文は5分程度の短い時間で一読いただけるようにしており、図表を使って読者の理解が深まるように工夫しています。

               

収益認識の開示(表示・注記):(5) 日本基準によるIFRS任意適用企業の注記事例分析(論点編)③

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2022-04-22
 収益認識の注記は、内容が詳しければ詳しいほど、又は分量が多ければ多いほど良いというわけではないと思います。詳しすぎると、又は分量が多すぎると、かえって何が重要か不明瞭になってしまい、財務諸表利用者の理解を妨げる結果になる場合も考えられます。一方、情報のまとめ方が大雑把すぎても、財務諸表利用者の知りたい情報にならない可能性があります。「開示目的」(基準80-4)に照らした注記という目的指向のアプローチがとられているのは、そのような状況を回避する考え方が背景にあるように思われます。

 事例分析の最後として、様々な業種、ビジネスモデルで、多種多様な財又はサービスを顧客に提供し、世界規模でビジネスを展開している連結売上高十数兆円の総合商社を対象とします。膨大な収益認識に関する情報を、財務諸表利用者の理解に役立つ開示にするため、どのようなポイントでまとめているかについて分析します。なお、本文中、意見にわたる部分は、筆者の私見であり、所属する法人の公式見解ではありません。

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収益認識の開示(表示・注記):(5) 日本基準によるIFRS任意適用企業の注記事例分析(論点編)②

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2022-04-15
収益認識会計基準は、5つのステップが象徴するように判断の積み重ねで会計処理が決定されます。したがって、会計処理の結果、各会計年度に計上される収益(売上高)は、KPI(Key Performance Indicator重要業績評価指標)だけでなく、会計処理上の判断によって大きな影響を受けます。収益認識の注記を記載する場合も、これらの判断が収益(売上高)に与える影響を考慮する必要があります。
 
 今回は、スマートフォンを中心とした身近なサービスを提供している企業グループを対象とします。スマートフォンと各種サービス・オプションの組み合わせが異なり、顧客や商流も異なる多種多様なサービスを提供しているため、収益認識の論点も数多く存在すると思われます。なお、本文中、意見にわたる部分は、筆者の私見であり、所属する法人の公式見解ではありません。

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収益認識の開示(表示・注記):(5) 日本基準によるIFRS任意適用企業の注記事例分析(論点編)①

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2022-04-08
 収益認識では、5つのステップが適用されて会計処理が決定されるため、注記の記載においても、重要な論点ごとに、企業の置かれている状況や実態を5つのステップにそって記載する方法が考えられます。5つのステップにそって注記を記載する場合は、特に、ステップ間の関係を意識することが大切です。

今回は、東京証券取引所の業種分類上、電気機器に区分されていますが、国内・海外のソリューションサービスへの経営資源の集中によるビジネスモデルの変革を進めているため、収益認識の会計処理の論点が数多く存在すると考えられる企業グループを対象とします。なお、本文中、意見にわたる部分は、筆者の私見であり、所属する法人の公式見解ではありません。

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収益認識の開示(表示・注記):(4) 日本基準によるIFRS任意適用企業の注記事例分析③

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2022-04-01

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収益認識の開示(表示・注記):(4) 日本基準によるIFRS任意適用企業の注記事例分析②

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2020-03-25

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収益認識の開示(表示・注記):(4) 日本基準によるIFRS任意適用企業の注記事例分析①

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2022-03-18

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収益認識の開示(表示・注記):(3) 注記に関する重要な定めとチェックリスト

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2022-03-11
 (1)では、収益認識における期末注記の3つのポイントを、「相違点」という切り口で解説し、(2)では、「従来の会計実務との違い」から導かれる最も重要なポイント(「企業の実態」にもとづく注記の検討)を解説しました。
 今回は、これらを踏まえて、収益認識基準等の重要な開示(表示と注記)の定めを確認し、注記項目ごとの理解のポイントを解説します。また、「令和2年度 有価証券報告書レビューの審査結果及び 審査結果を踏まえた留意すべき事項 」 (令和3年4月8日:金融庁企画市場局)のうち、IFRS任意適用企業の収益認識の開示に関する改善提案事項を紹介します。

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収益認識の開示(表示・注記) : (2)「企業の実態」にもとづく注記の検討とポジション・ペーパー

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2022-03-04 前回解説した3つのポイントの中で、最も重要なポイントは、収益認識基準では「開示目的」(基準80‐4)という考え方が導入されているという点です。
 今回は、「開示目的」を達成するために必要とされる「企業の実態」にもとづく開示の検討について、具体例を挙げて解説します。また、各企業がこれまでに作成したと思われるポジション・ペーパーの活用についても言及します。

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収益認識の開示(表示・注記) : (1) 期末注記の3つのポイント

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2022-02 収益認識に関する注記では、期末の注記項目は、四半期よりも多くなっています。また、従来の開示実務と異なり、注記項目の中から何をどのように開示するかの判断が、企業に求められます。また、他社事例を参考にする場合には、どの企業を参考にするかにも留意する必要があります。
以上を踏まえ、今回は「相違点」という切り口により、期末注記の3つのポイントを解説します。

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